お買い得な株
お買い得な株は以下のように定義しました。
予測された(半年間の平均)株価に比べて(決算発表直後の)現在の株価の方が安い
つまり以下が株価(時価総額)の予測結果ですが
仮にある銘柄が100円と予測された一方、現在の平均株価が80円なら平均100円までは上昇するのでは?という思惑です。
これが言えるのは 予測値>実測値
なので、グラフ上では黄色の線の左上側にプロットされた銘柄に相当します。
とはいえ株を本当に買うとなるともう少し慎重に方針を決めるたいです。
とにかくはじめます🍛
狼少年
今回、予測モデルの構築にあたり、学習データとして各業企ごとに平均4年分を用いました。
まずとある企業A
の4年分の予測結果を見てみましょう。
いずれの年も 予測値>実測値
となっており、お買い得な株と言えそう…ですか?
突然ですがここで例え話として、以下の3人の少年を考えましょう。
それぞれの少年に予想株価を聞くと以下のように答えます。
少年 | 特徴 |
---|---|
少年A | いつも現在株価より高めに外す |
少年B | いつも現在株価より低めに外す |
少年C | 高めと低めを半々ぐらいで外す |
仮に現在の平均株価が100円だとして、すべての少年の予想が120円だった場合を考えます。
予測が正しいとすれば、今買えば20円上昇する可能性があるお買い得な株かもしれません。
少年A
少年Aはいつも110円や120円と予想するので、今回の120円もいつも通り高めに言っているだけと考えてしまいそうです。
ここでの少年Aとは、先ほどプロットした企業A
に相当します。
言い換えると企業A
は、常に高めに予測されやすい企業ということです。
より安全を期するなら、たとえ割安の予測が出ても少年Aのような企業A
は避けたいです。
ちなみに今回のモデルは損失関数(RMSLE
)の特性上、比較的、少年Aが量産されやすいモデルになっています。
少年B
少年Bはいつもなら80円や90円と予想するのに、今回は120円と言っているという状況です。
少年Bはこんな企業に相当します。
いつも低めに言う少年Bが高めに言うということは、もしかしたら今回は自信があるのかもしれないと期待できます。 さらに同じ少年Bなら、普段50円や30円などとさらに低めに予想する少年の方がより自信があると言えるかもしれません。
ただもちろん少年Bが無条件に良いとも言えません。
いつも低めに株価を外すということは、単純になんの予測もせず低い株価を言っているだけかもしれません。 あるいはいつもと違うことを言うという意味で、少年Bの調子が悪いのか知れませんし、少年Bにとってこれまで経験したことが無い状況なのかもしれません。
なので少年Bを信じるとしても、普段の予測結果が安定している信頼性の高い少年Bがなお良いです。
少年C
少年Cは普段から90円や120円などと決まりなく予想するので、今回が正しいのかはもちろん分かりません。
少年Cはこんな企業に相当します。
少年Cに関しても少年B同様で、少年Cがいつも本当の株価と近い予測をしているなら、今回の予想も信じて良いかもしれません。
もちろん少年Aも予測精度が高く信頼できる少年Aなら信じて良いのですが、同じ予測精度ならあえて少年Aを選ばないという話です。 個人的には同じぐらい信頼できるなら、少年C > 少年B > 少年A の順で信じたいです。
予測結果の分布
予測の外れ方
話を戻して予測の外れ下の分布を見てみます。
以下は企業ごとの (上に外れた数-下に外れた数)/予測数
の分布です。
左から 少年B->少年C->少年A に対応しているイメージです。 やはり少年Bより少年Aが量産されやすくなっていることも確認できます。
予測差異
次に予測差異の分布を見てみます。
ここでは予測値と実測値を 予測差異
と呼びます。
当然この予測差異は0に近いほど良く当たると考えられます。 またその偏差が小さいほど、各予測が安定している考えられます。
色は先ほどの棒グラフと対応しており、分布は各少年の特徴を表しています。
ねらい目の企業
これらを総合して、以下の条件を満たす企業の株がお買い得と決めました。
- 少年Bに相当する企業の場合
- 予測差異の平均が大きい企業(=普段はかなり低めに予想する)
- 予測差異の偏差が0に近い企業(=安定している)
- 少年Cに相当する企業の場合
- 予測差異の平均が0に近い企業(=普段の予想はかなり近い)
- 予測差異の偏差が0に近い企業(=安定している)
- 現在の株価より予測株価が高い企業
1,2の企業とは以下の網掛け部分の企業です。
少年Bの条件は逆張りなので、安全を考慮するなら少年Cだけを見ても良いかもしれません。
3に関しては、決算発表直後に今回作成したモデルで予測を行い、現在株価と比較することで抽出できます。
で、その条件を満たすを銘柄を知りたいかもしれませんが、もちろんまだやっていません。
まとめ
当初の目的であったお買い得な株を見つける方法を考えてみました。 なおここで定義したお買い得な株は勝手な定義で、統計的な結果に基づくものではありません。
実際にこの方法で見つけた株で儲かるかもしれませんが、多分無理でしょう。 本シリーズの最初に述べたように株価はそんな単純な理屈では決まりません。
とはいえ、どの程度この方法が使えるのかは知りたいところなので、気が向いたら本手法で見つけたお買い得な株を紹介するかもしれませんし、実はもうこっそりと儲けるているのかもしれません。